Q(1)相続とは何ですか。
A.死者(被相続人という)の財産を誰かに帰属させるための制度です。

 

Q(2)相続では借金等のマイナス財産も被相続人から引き継がれるのですか。
A.相続では積極財産(プラスの財産)だけでなく、消極財産(債務)も引き継がれます。

 

Q(3))被相続人の財産を相続人が相続によって承継するにはどのような方法がありますか。
A.法定相続と遺言相続があります。前者は、遺言がない場合に、民法が定めたルールに従って相続する方法です。後者は、被相続人が相続の仕方について遺言という形で意思を表示している場合です。

 

Q(3)法定の相続人となれるのはどの範囲の人ですか。
A.配偶者は常に相続人となります(民法890条)。血族については、順位がついています。まず@被相続人の子(887条1項)や被相続人の子の子等(887条2,3項)が相続人となります。子がいない場合は、A直系尊属である父母等(889条1項)が相続人となります。これらの相続人がいない場合は、B兄弟姉妹(889条1項)またはその子(889条2項)が相続人となります。

 

Q(4)法定の相続分はいくらですか。
A.Q(3)@の場合は、配偶者の相続分は2分の1で、残りの2分の1を子で均等に分けます。例えば、子が1人の場合は子の相続分は2分の1となり、子が2人の場合は子の相続分は4分の1ずつとなります。Q(3)Aの場合は、配偶者の相続分は3分の2で、残りの3分の1が父母等の相続分です。Q(3)Bの場合は、配偶者の相続分は4分の3で、残りの4分の1を兄弟姉妹等で均等に分けます(民法900条)。

 

Q(5)被相続人が死亡して相続が開始すると、相続人はどのように相続財産を承継するのですか。
A.何もしない限り、プラスの財産とマイナスの財産の全部を承継します。マイナスの財産が多く相続を拒否したい場合は、相続放棄(もしくは限定承認)をする必要があります。

 

Q(6)相続放棄をするにはどうすればよいですか。
A.相続人には自らの意思で相続しないことを選択する自由が認められていて、これを相続放棄といいます。相続放棄は、その旨を家庭裁判所に申述することによってします(民法938条)。

 

Q(7)相続放棄の家庭裁判所への申述はいつまでにする必要がありますか。
A.原則として、「相続が開始したこと」および「自己が相続人となったこと」を知った時から3ヶ月以内にする必要があります(民法915条1項)。例外として、3ヶ月以内に相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、そのように信ずるについて相当な理由があるときは、「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時」から3ヶ月以内にする必要があります(最判昭和59年4月27日)。

 

Q(8)どのような財産が相続の対象となりますか。
A.不動産・預貯金・株式や小切手等の有価証券・自動車等の動産・損害賠償請求権等の債権債務等が相続の対象となります。

 

Q(9)生命保険金請求権や傷害保険は相続財産となりますか。例えば、親が3人の子のうちの1人の子を生命保険金や傷害保険金の受取人としていた場合、どのような取扱いとなりますか。
A.判例は、相続財産とはならないとしています。親が3人の子のうちの1人の子を生命保険金や傷害保険金の受取人としていた場合、相続とは別に受取人は保険金を取得できます。相続財産として遺産分割の対象となることはなく、遺留分の減殺請求を受けることもなく、遺産分割で特別受益とされることもありません。なお、相続とは別に保険金を取得できますが、相続税の対象にはなります。民法上の問題と相続税法上の問題は別に考えなければなりません。相続税法では、生命保険金・損害保険金は相続税の対象となります(相続税法3条1項1号)。

 

Q(10)特別受益制度とは、どのような制度ですか。
A.特別受益制度とは、生前贈与や遺贈(特別受益)を受けた相続人(特別受益者)がいる場合に、相続人間の公平のために、相続分算定の際にこれを考慮する制度です。

 

Q(11)特別受益を控除しない被相続人の意思は尊重されますか。
A.被相続人の意思は尊重されます。すなわち、生前贈与を考慮せずに、また遺贈を除外した残りの財産だけを対象に、受贈者・受遺者を含む共同相続人が法定相続分に従った分配を行なうようにすることも可能です(持戻しの免除)。ただし、このような被相続人の意思も、遺留分制度による制約には服します(民法903条3項)。

 

Q(12)寄与分制度とは、どのような制度ですか。
A.たとえば、長男が小売業を営んでいる父を助けてその営業に従事し、大いに繁盛して財産が増えた場合、長男の寄与を相続において考慮しようというのが寄与分制度です。

 

Q(13)寄与分を主張できる者の範囲はどこまでですか。
A.内縁の妻や家政婦等は主張できません。寄与分制度によって利益を受けることができる者は相続人のみです(民法904条の2の第1項)。

 

Q(14)寄与分はどのようにして決めるのですか。
A.寄与分は、まず共同相続人の協議で定めます民法904条の2第1項)。協議が調わず、またはできないときは、寄与者の請求により、家庭裁判所が定めます(民法904条2第2項)。

 

Q(15)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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